常に意識することで演奏は磨かれる

さかいピアノ教室(松本市)《大人のピアノコース》のYさんは、子供の時に通っていたピアノ教室の門下生の発表会に現在も毎年出演されています。

先日今年の発表会が無事に終了し、その演奏についての感想を伝えてくださいました。

まずは、レッスンで呼吸について深く探究したことが生かされ、緊張の中でも呼吸の意識に助けられ演奏できたそうです。

しかし、舞台演奏を録音したものを聴いて感じたこととして、ご自分では工夫しているつもりの強弱の違いが感じられない…という事でした。

 

今回のYさんのご感想をお聞きして、ふとこの3年間の音楽を取り巻く環境のことを思いました。

これまでの約3年の期間は、世の中の音楽教室やピアノ教室等では対面レッスンができないジレンマに悩まされてきました。

また、音楽ホールでの生の演奏会も制限され、デジタルツールを介した音楽を鑑賞する機会が増えた3年間でもありました。

空気を介して伝わるアナログ(生)の音とデジタルの音は全く違うものです。

デジタル音に浸かりきって過ごしてきた事で「音」そのものの繊細な響きを味わう時間は確実に減らされたこの3年間でした。

『人間は環境の動物』という言葉がありますが、3年の月日がピアノを演奏する者の繊細な耳や繊細な感性(心)を劣化させていないことを願うばかりです。

 

Yさんには以下のアドバイスをさせていただきました。

『強弱についてのご感想がありましたが、このことについては一概にこうしたらOKという簡単なものではありません。演奏する曲にもよるし、曲の作られた時代の様式にもよるし、演奏時のピアノにもよるし、ホール等の環境や響きにもよります。
しかし一つ言えることは、手指や身体の使い方を鍛錬し研究すること、と同時に常に自分の耳に神経を集中させて聴くことが何より大切だということです。自分が出したい音がキチンと発出されているか?を聴くこと、そこがスタートです。鍵盤を打鍵して簡単に音が出てしまう楽器だからこそ、細やかな神経が求められます。理想の音を出すためにどんなタッチや身体や呼吸の使い方をすれば良いのか…を研究することでより理想の演奏へつながっていきます。
今後、今まで以上に、日頃からその様な意識を持って練習を積み重ねていただきたいと思います。その積み重ねが、理想の演奏(強弱の変化も含めて)へとつながっていきますよ♪』

 

指導者さかいは、この3年を経て、生の音楽の素晴らしさ…空気を介して響くアナログならではの繊細な美しさ…その様な「音」そのものに飢えている自分を感じています。

デジタルはデジタルの良さがあり、世の中の進歩と共に享受できる恩恵には感謝しています。

しかし、アナログの「音」の美しさ、繊細さといった魅力を、改めて新鮮な気持ちで味わいたいと強く強く渇望しています。

全ての生徒の皆さんに願う事は、今一度ご自分の演奏しているピアノの「音」をよ〜く聴いていただきたいということです☺️

これこそが、生徒の皆さんの演奏をより素敵な演奏へと進化させてくれる秘訣です。