遊び体験を思い出して演奏
昨年10月、さかいピアノ教室(松本市)へ入会してくださった小学1年生Yちゃん。
とても素直で真面目なYちゃんです。
レッスンで出された宿題は、毎回必ず完璧にして次回のレッスンに持って来てくれます。
宿題の曲だけでは飽き足らず、更に教本の先の曲を予習してきてくれることもしばしば!
いつも御同行くださるお父様も、
「ピアノを弾くのが楽しいようで、弾かない日はないですね。」
と、嬉しいコメントをくださいます。
真面目なYちゃんは、私の伝えるレッスンの内容を一つ一つ真剣に聞いて、どんな課題も一生懸命に挑戦してくれます。
何の問題もなく、このままYちゃんは順調にピアノ演奏のスペシャリストに育っていくのかもしれません。
先日ふと思ったことがありました。
ピアノを演奏するためには、楽譜に書かれた情報を正確に読み取る訓練、そして演奏するための技術を磨いて行くことが最低条件です。
しかし、もう一つ演奏者に必要不可欠なものがあります。
それは、演奏する時、どのように表現力を発揮していくかということです。
音楽には、静かで心地良いもの、ワクワク楽しくなるもの、踊り出したくなるような躍動的なもの、エネルギーがほとばしる激しいもの、怒りにも似た爆発的なもの、etc.…
ピアノを演奏するときには、その演奏者ならではの音に込める思い、音色の選択や間の取り方など、表現力と呼ばれる大きな課題が求められます。
演奏者に求められる表現力は、日常の様々な体験から得られることが多いと感じています。
非日常的な特別な体験というわけではなく、普通の生活の中の小さなことの一つ一つが演奏者その人の表現力の源泉になるのではないでしょうか。
Yちゃんと、ある4分の3拍子の曲をレッスンしている時のことです。
音符もリズムも正しくきっちりと、いつものYちゃんらしく正確無比な演奏をしてくれました。
もちろん100点満点💮です。
その時ふと、更にもっと素敵な生き生きした演奏を…そんな思いが私の頭の中をよぎりました。
ちょっと遊び心をくすぐってみよう!
「ブランコをこいでる時ってどんなかな?」
Yちゃんと一緒に、二人でエアブランコ(ブランコをこいでいる真似)をしてしばし遊んでみました。
何事も真面目にコツコツのYちゃんも、その時ばかりは弾けた笑顔でちょっぴりおふざけモード😙
その後、もう一度同じ曲を演奏してみました。
真面目な4分の3拍子の曲が、あらあら、何とも楽しく命を吹き込まれた立体的な演奏へと大変身✨
ブランコをこぎ出す時のエネルギーの感覚を思い出したことで、3拍子の1拍目を踏み出すイメージのヒントを得られたようです。
当ピアノ教室では、指導者が『こうして演奏するといいよ!』と、形で演奏をお伝えするだけではなく、演奏している生徒さん本人がそう演奏することの意味を理解すること、そして、何より生徒さんの中から湧き出てくる感覚を尊重した上での演奏を目指しています。
これからも、生徒の皆さんには、色々な日常体験を基に表現力を深めていって欲しいと思います。
その先にある、それぞれの生徒さんの成長が楽しみです🎶