ベートーヴェンの意志を汲み取った演奏のために
さかいピアノ教室(松本市)のレッスンでは、最近生徒の方々から多く寄せられているのが、ベートーヴェンの作品を演奏したい、というご要望です🎶
大人の生徒さんや高校生の生徒さんたちが、現在ベートーヴェンの曲をそれぞれレッスンしています。
偶然にも、昨晩NHKで放映された『指揮者なしのオーケストラ 第9に挑む!』を観ました。
「トリトン晴れた海のオーケストラ」通称「晴れオケ」が、ベートーヴェン交響曲第9の演奏に指揮者なしで挑む、という内容でした。
曲の始まり、冒頭の第2ヴァイオリンの音をどう演奏するか?トリルの刻み方や音量などに対する意見を出し合い少しずつ調整していく様子…
曲の途中のコントラバスとチェロをどう絡めて演奏していくべきか…そして、そこに絡む管楽器との合わせ方は?
ティンパニーのタイミングと弦楽器のタイミングを合わせるベストタイミングは?
第4楽章の合唱が入る箇所をより洗練させるためには…
etc.
何となく見始めた番組でしたが、次々と出てくる難題にオーケストラのメンバーの方々が皆で意見を出し合い、より良い音楽を作っていこうとする真剣な様子にどんどん引き込まれていきました。
最後には、コンサートマスター矢部達哉さんを中心に完成させた、指揮者なしのベートーヴェン交響曲第9の素晴らしい演奏を聴かせてくださいました。
さて、ピアノ演奏はオーケストラを1人で紡いでいくこと、とよく喩えられます。
ピアノ演奏者は10本の指でオーケストラを奏でなければならず…それは、生優しいことではありません。
ピアノという楽器は、誰でも簡単に音を出すことができてしまうため、無造作に、無責任に、演奏をしてしまいがちです。
しかし、ピアノという楽器は、演奏者の技量と想いとが鮮明に表れる、面白くも恐ろしい😆楽器です。
前出のオーケストラメンバーが、さまざまな難題を克服すべく意見をぶつけ合い、より良い音を探し求めていたように、ピアノ演奏者も自分の中のあらゆる想いや考えを総動員して選び抜いた音を出す意識を持たなければならないということを、昨夜の「指揮者のいないオーケストラ」放映から改めて感じました。